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こっ、このブルーな感覚は?!

論文提出後に発熱で寝込み、クリスマスはいつの間にか通り過ぎていた。この時期は、二人でよくチリ産の安いワインを飲んだ。ウチで飲む時は、いつも僕が料理した。ワンルームマンションの電気コンロとカセットコンロを併用して、パスタや炒め物や煮物を作った。いつも自分で作って自分で食べるだけだったから、「『美味しい』って言って食べてくれる人がいるってエエなぁ」と思いながら、これまでになく料理を熱心に作るようになった。あの時、結婚後のライフスタイルが確立したと言っていいだろう。

僕は冬休みに入り一度、四国の両親宅に帰り、大晦日には京都に戻った。修士論文は提出したモノの、まだ口頭試問も残っていたし、その先には博士過程の受験も控えていた。とはいっても、年末はノンビリ過ごし、年始の挨拶に、和子さんと和子さんの上司宅へご挨拶に出掛けた。

当時、和子さんは短大で助手をしていた。上司は和子さんより少し年上の女性講師久美子さん。その方の夫は建築士で、自宅の一階が設計事務所になっていた。そこの夫婦は、時間の融通の利く夫が家事や料理をするという夫婦のスタイルだった。そういうライフスタイルの夫婦がいることは、本やテレビなどで見聞きしていたものの、実際に目の前で実践しているのを見たのは初めてだった。和子さんと「ウチらも、こういうスタイルになるんかなぁ?」と話をした。

夕方にお邪魔して、そこから延々夜中まで飲み続け話し込んでいるうちに、和子さんの婚約破棄や最近の経緯を知る久美子さんから「任ちゃ~ん(和子さんの姓)!いい!」と、僕たちの関係を応援してもらえる発言が飛び出した。「結婚しちゃいなよ!」と仰ったかどうだか、それとなくそういう話になっていたような気がする。

そしてその翌朝、1998年1月2日の朝。前日の勢いが残っていたのかなんなのか、突然、どっちからともなく「一緒に住もっか!結婚しよっか?!」という話になった。「結婚してダメなら別れてやり直せばいいやん」という程度にしか考えてなかったのかもしれない。

でも、この後、僕に思いがけないことが起こった。

「結婚しよう!」とお互いに決断し、ハッピー気分で初詣へと近所の長岡天満宮に向かっていたのに、その道すがら、和子さんの話では、僕の顔色はどんどん悪くなり、次第にションボリうつむき気味になり、足取りもどんどん重そうになっていたそうな。
横を歩く和子さんが「どしたん?」と尋ねる。
「ん?なんかよぉわからんのやけど…」
「しんどいん?」
「そういう感じじゃないけど…何なんやろ?」
そして、境内の東にある八条ケ池のほとりにあるベンチに腰掛けた僕がポソッと一言、

「はぁ~僕も所帯もちになるんか…」

(シーン)

「は?今なんと?」
「僕も所帯もちになるんやなぁって」
「誰が?しょたい?所帯もちって?

 アッハッハッハ~。

なになになに?それってもしかして
もしかしてマリッジブルー?
男の人でもなるんやぁ(笑)」
「へ?あ、そっか!これがマリッジブルーというモノかぁ!」
「所帯もちやなんて、ウチらには関係ないやん!」
「そぉゆ~たらそやなぁ。そうかそうか…そうやわ!なんか肩の荷がスーッと降りたわぁ」

僕は、婚約破棄した相手の「あなたに付いていきます」に象徴されるような、「男が一家を支える」という観念の呪縛に取り憑かれていたらしい。このマリッジブルーとそれを一笑に付した和子さんによって、はじめていろんなモノから自由になれた気がした。

僕は、自分の中の「男は外で仕事、女は家で家事子育て」という性別役割分担意識が、思っている以上に深く染み込んでいたことを自覚した。「性別によって役割を固定化してしまうのって問題」だと思っていたのに、この考え方が自分の中ではまだ根本的に切り替わってなかった。この日のブルーな気持ちと、その後のスカッとした晴れやかな気持ちの両方の両方共が僕の中にあり、そのどちらもで僕を形成していたことを知った。

「所帯もちになる」という言葉は、僕の中の「男は仕事、女は家事」という観念の最後の吐露になった。「自分の中には、こういう観念もまだ残っている。これを全部否定するのではなく、これも僕の一部分。あとは理性でバランスをとりながら自分を楽にしてあげよう」と思った。不思議と「主夫になる」ということに対するストレスは全くなかった。おそらく、「所帯をもつ」方の重さが大きくて、「主夫になる」ことの重大さには気付いていなかったのかもしれない。

ちなみに「一緒に住むなら結婚しないと!」と言ったのは和子さんが引っ張っていた観念。僕は「同棲でもいいかな?」と思っていた部分もあったけど、和子さんが「結婚しようよ!」と頑として譲らなかった経緯がある。僕には、「なにがなんでも事実婚で同棲!」というだけの説得材料をもっていなかったので、あっさり「じゃあ結婚しよう」となった。ともかく、お互いに、少しずつ固定的な考え方に引きずられる部分を残しながらも、結婚に向かってスタートを切った。

とにかく意識下の様子はわかった。次は行動だ。

その夜、久美子さんに「結婚することにしました」と連絡を入れたら、「決断早いねぇ」と驚かれた。「でも、どうせするなら早い方がいいわよ」と応援のメッセージがあった。こうなると話は早い!
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プロフィール
主夫生活の傍ら、「スーパー主夫」「プロ主夫」として講演や執筆活動をしている山田亮のブログです

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